
篠原 彩Aya Shinohara
株式会社クイック
採用担当の役割は、学生が納得できる道を一緒に探すこと。

個性豊かな家族に囲まれて育った
私の家族はけっこう個性的で、父親が板前、母は元トリマー、兄はプロボクサーなんです。人生の中で仕事に重きを置くことが当たり前の環境で育ってきたので、私は自然と仕事を生き甲斐にしたいという気持ちになっていました。そこで大学生の時の就活では、自分だけじゃなく、周りにもそう思ってもらえるように働く意義を人に伝えられる人材業界に限定。その中でもクイックは、徹底的な顧客目線がビジネスモデルにちゃんと落とし込まれていること。そして、企業と転職希望者を一気通貫でコンサルティングできること。この2つの理由から入社を決めました。
初めは、中途採用の人材コンサルタントとして働き始めました。クイックは業界ごとにチームが編成され、私は化粧品業界のチームに配属。女性のライフプランを考えたり、中途採用を行なっていない大手企業に適した人材の提案ができたりと、非常にいい経験をさせてもらいました。
入社してから2年が経った頃。今度は学生に働くことを伝えられる新卒の採用担当になりたいなと考えていたんです。そしたら上司から偶然声をかけていただいて。本当に驚きましたけど、即決で「やらせていただきます」と返事をしました。

本心をぶつけあった面談
クイックの採用担当は面接をほとんど行ないません。選考と選考の間にある面談やセミナーの開催など、あくまで選考する現場社員と学生の間に立つ存在なんです。私は思ったことをはっきり言うタイプで、面談中にある男の子と衝突したことがありました。その学生は小さい頃からテーマパークをつくって、人の幸福を増幅させたいという夢を持っていた。この「人の幸せを増幅させる」ということを実現するためにどういう選択をすべきか。お互いの本心をぶつけあったんです。
最終的にその子はクイックに入社せず、テーマパークを運営する会社に入社することになりました。私は自社の採用が必ずしも最優先ではないと思っています。その子の能力は申し分ありませんでした。でも、無理やり説得したところで、本人が納得していなかったら、働いているうちにいつか辛くなっていく。それならどの選択が目標の実現になるのか。そしてクイックは、目標に対してどんな役割があるのか。そこを真剣に話し合うべきだと思います。
この間、その彼とご飯を食べにいったんですけど「あの時に言い合えたからこそ、覚悟が決まりました」と言ってくれて。面談をしてよかったなと心から思えたんですよね。

選考の最終段階で、改めてセミナーを開く
去年、私は選考が最終段階にさしかかっている学生に対して、企業理解を深めるためのセミナーを開催しました。なぜこの試みをしたかというと、最終面接やその一歩手前の面接では、その学生を採用したいばかりに自社の魅力ばかりを伝えるようになっていると思うからです。するとどの企業が本当に自分に合っているのか分からなくなる学生もいる。一度、何を大切にして会社を選んでいるのかを冷静に判断できるように、選考に関係ないセミナーを開こうと思いました。
セミナーの内容としてはまず学生同士、どんな軸で就活をしているのか、どんなことが悩みなのかなどについて会話。そして次に事業内容、仕事内容、風土、制度の4つに分けて、自分が何を大切にしているかを考えてもらいます。その上で、クイックがこの4つの面でどんな会社なのかを伝えました。
私はこの時、学生が導き出した結論に一切口出ししていません。あくまで学生自身が同じ境遇の人に「そんな考えを持っているんだ」という発見や「他の人と話しても、この考えはぶれなかった」という決心を尊重。最後の段階で、今一度自分を見つめ直せるセミナーになり、学生の会社選びに役立てたかなと思います。

実体験がいちばんの理解になる
人生で転職がどれだけ大きな決断になるのか、まだ就職したことのない学生はやっぱりイメージしづらいと思うんです。そんな意見が出て、ここ数年クイックはコンサルティングの仕事を体験できるインターンシップをしていなかったんですけど、19年卒の新卒採用で開催することになりました。
また、人材ビジネスって「企業と求職者の出会いをつくるだけの仕事」だと考えている学生がけっこう多くて。決して間違いじゃないんですけど、私たちは出会いの先にある企業の経営課題や採用課題を解決していることも伝えたいんですね。
そこで、私は学生が人材コンサルタントになり、仕事を体験してもらう内容を企画。クイックのメンバーが企業側と転職希望者側の役を担います。企業側でいえば、その理念や事業内容、会社の強みなどを。そして転職希望側でいえば、出身地や兄弟構成とか、生い立ちなどなどを事前に細かく設定。学生は私たち(企業and転職希望者)にヒアリングを行ない、どの企業と転職希望者が合うのかを自分で考え、採用課題を解決してもらいます。今年の9月から実施しているのですが、想像以上に好評いただいていて、学生にどんな効果をもたらすのかを知るのが楽しみです。
愛読書
My favorite book
『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』
全部で34種類に分けられた強みの中から自分がどれに当てはまるか分かる本なんです。いくつか判明した私の強みの中で、特に気になったのが「収集心」。これは、モノだけじゃなくて、何かの考えとか知識でも集めることを楽しむタイプなんだそうです。たしかに仕事とプライベートで、別々に収集したものが結びつく瞬間があって、それが凄く面白く感じるんですよね。

企業紹介Bijinji Office
プロフィールProfile

篠原 彩
人材紹介事業本部 新卒採用プロジェクト リーダー/将来的に会社としてまだ誰も担ったことのない中途採用と新卒採用の兼任を目標に掲げるストイックな美人事。プライベートは音楽が大好きなこともあって、月に何回かのペースで渋谷・表参道あたりのクラブのDJも担っている。